まつきインタビュー - 牛久✾コラティル

ほのかに新築の香りを感じる「鮨処まつき」は去年の１０月に移転し
新しい店舗をオープンした。

上品、や華といった言葉がぴったりなのではないだろうか。
お刺身、お寿司、おつまみのひとつひとつに江戸前とは違う輝きを感じるその
お料理は、新しい美しさを放っているように感じる。

鮨処まつきの大将松延次郎さんは、牛久のお寿司屋さんの大将の中ではかなりお若い。
厨房には奥様と二人で立ち、力を合わせて店を経営してきた。

「あまり周り気にしなくていい空間は作りたくて
以前の店舗は個室が一つだったんですけど、もうひとつくらいあってもいいのかなって
敢えて壁を作ってもらって」

こだわりの和室は緑と藍色で彩られ、和を感じつつもモダンな雰囲気も感じるお洒落な空間となっている。

───お寿司屋さんを目指されたきっかけは何ですか？

「きっかけか…
もともと新月ってお店に入ったんですね
友達が新月でアルバイトで働いていたんで。
その友達に見習い募集してるよ、と声をかけてもらって、あ、じゃあいってみようかと。
それから１６年くらい修行して。」

───それまでは、お料理がお好きだったとか

「そうですね、あんまり…
スポーツとかそっちの方が好きだったからあまり料理は…」

───お寿司がお好きだったとか

あ、でも肉より魚派。
特別寿司が大好きというわけではなかった。
昔から寿司を日常的に食べるわけではなかったです。
ネタはひらめとかさっぱりした白身が好きですね。

───新月さんで修業しながら独立を目指されたのですか？

「もともとやるなら独立目指してやろうと新月の親方と話していて
じゃあ、そっちでいこう！と
自然と道が決まっていったというか」

───お料理や特にお刺身の盛り合わせで新月さんで修業されていた面影のようなもの
を感じるのですが、オリジナルな部分、こうでありたいという部分はどんなところなのでしょうか

「全く同じっていうのはおもしろくないなって思ってて、
オリジナル…お寿司屋さんなんだけど、お酒のおつまみが多めにあった方がいいなっていうのはありますね」

───テイクアウトのおつまみセットを注文した時、品数が多くて主人と感動したのを覚えています。
お刺身ひとつも手が込んでるなって

「光物のしめたやつとか好きで。あとはひらめを昆布締めにしたり。そこらへんをそういう風にやってると、仕込みが忙しくなってランチができないっていう(笑)
時間がかかるから
容量悪いから、時間がかかる」

───いやいや、ひらめの昆布締めの食感が新しくてとても美味しかったです。
新月さんの修業時代の話も少し伺ってもよろしいでしょうか？

「新月の時は玉子焼き担当だったんですよ。
多少こっちに来て変えてる部分はありますけど、ベースは新月の親方に教わった玉子焼き。
焼き方とかも全部教わって。」

───新月さん、いろんなメニューがありますよね。ローストビーフや海鮮コロッケも置いてあって。
昔からあんな風に幅広いメニューが置いてあるお店だったのですか？

「俺が入ったばかりの時は、寿司一本でいくような、正統派な寿司屋だったんですよね。
メニューも鮨、天ぷらみたいな
女将さんがそのあたりとても柔軟な人で、時代に合わせてランチを始めたり
海鮮コロッケを始めたりとか
ちょっとずつメニューが増えていったのかな」

───松延さんが考えたメニューもあるのですか？

「俺ですか？そうですね、とろたくをごはんなしでのりで巻いた「とろたくのつまみ」は、俺が
新月にいた頃に考えた、気がする？」

───同じメニューだなと思いました。新月さんのテイクアウトでも入ってたので
何かきっかけがあって思いついたのですか？

「何かあったんだろうなぁ…なんだっけ
お客さんで、かんぴょうをのりだけで巻いておつまみにして食べてた方がいて
その延長線上なのかな。
結構、新月の親方もお客さんに「こういうの作れる？」って聞かれると断らないでやっちゃう人
なんですよ。やれる範囲で。そのスタイルがそのまま俺も受け継がれてて
多分お客さんにリクエストされたんだと思うんだよね、とろたくのつまみも
最初は巻かないで、お客さんに手巻きみたいに巻いてもらうスタイルで出してたと思う」

───まつきさんの人気メニューを教えてください

「その時期によっての旬魚が人気だけど、定番だと…
海鮮バクダンっていうのがあって、ねばねば丼みたいな。そこにウニをちょっと添えて」

───ウニはおいしいですよね

「ウニも時期があって、市場の人との信頼関係もあるんだけど、その時期で市場の人が仕入れた
一番いいものを入れさせて頂いてる。
本当に高いのだと何万てしちゃうから、いい塩梅で
そこは妥協しないようにしてる。
うちでウニ美味しいってなってリピートしてくれる人もいるんですよ」

───去年10月に移転をされましたが、新しいお店で心掛けた事などあるでしょうか？

「やっぱりウイルス対策の業者を入れましたかね。牛久市が助成金ちょっと使わせてもらって、店内を業者入れてコーティングしてもらったんですよ
滅菌作用があって、コロナじゃなくてもインフルエンザとかでも効果あるし
1年くらい効果あるんで、いいかなって。
その助成金は牛久市独自のものだから、他の市はなかったりするんですよね。ありがたいと思ってます」

───お客様にも感謝することはありましたか？

「いろいろあるけど、常連さんのありがたさとか
来れないけど持ち帰りしてくれたりとか
横のつながりは感じましたよね。
ほんと、1日1000円売上あったら「あー、よかった」みたいな時もありましたし

───そんな時も！？

「ありましたね。0の時もあったし
朝から仕込みしてずーっと電話待ったり
移転してすぐあたりから自粛ムードが強くなって、年明けてからは
ほんとやばかったですね」

今年の1月といえば緊急事態宣言が発令され、全国的に自粛が求められた頃。私自身取材
で飲食店さんを回る度にこんな状態なのかと現状を思い知らされる事が多く、一番衝撃を
受けたのもこの頃だ

─── 恵方巻はFacebookを見る限り早いうちに予約を打ち切っていましたが

「恵方巻は、去年やって皆さん予約して頂いて、俺いっぱいいっぱいになっちゃってたんですけど
今年予約で去年の本数上回っちゃって
ビビッて、やべえってこれやりきれなかったらどうしようって思って
とりあえずここで予約終了しようって」

───最終的に何本くらい入ったのですか？

「最終的には150本くらい。
もう朝から夜までずっと巻いて巻いて巻いてシャリきって」

───まつきさんの恵方巻は海鮮でしたっけ？

「海鮮恵方巻と、普通の太巻きと、2種類やってましたね」

───2種類は、大変ですね

「途中よくわからなくなってくる。あれ、これ入れたっけなみたいな(笑)そんなかんじ」

───先日伺った時目光の唐揚げを頂いたの、奥様が揚げてらしたのですが、お料理上手ですよね。
目光、すごくおいしかったです

「最初は俺がやってたんだけど、俺がいっぱいいっぱいになってたらしくて、寿司とか刺身とか
見かねて手伝ってくれてたら、上手になっちゃった」

───元々お料理をされていたとかではなく、ですか？

「あ、でも料理上手ですね。家の料理も上手なんですよ。子供もお母さんの料理が好きって言うくらい。
うちのメニューだと、牡蠣のオリーブオイル漬けとかうちの奥さんが考えたメニューなんです」

───お酒が他では見ないものを見るのですが、おすすめのお酒もあるのですか？

「日本酒ってあまり好きじゃなかったんですけど、昔これ飲んで美味しい日本酒もあるんだなって
思ったんです。これは店開いたら絶対置こうって思ってましたね
純米大吟醸だから甘いんですけど、香り高くて
ずっと飲み続けるようなお酒じゃない。
霧筑波も置いてるんですけど、こっちはずっと飲み続けられる
石岡の渡り船ってお酒もおすすめかな。
これも香りが良い」