連根屋インタビュー

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大通りから細道を少し入ったところにある【旬の台所 連根屋】さんは牛久
の人気の和食料理店。
取材に伺った日は店休日だったが店内は明るく賑やかだ。
明日以降の仕込みの作業をしているのだ。

───お休みの日もこうして、お仕事されているのですか?

「そうですね、じゃないと間に合わないです。
休みはね、休めた方がいいと思います。
でも今の料理をやろうと思ったら正直時間はかかってしまうので」

今はどこの飲食店もテイクアウトを扱うのが当たり前になってきているが
連根屋さんのお弁当はひときわ違う輝きを放っている。
花見に来た時のような晴れやかな気分に浸らせてくれる美しい盛り付け、
一口サイズに切られた美しいおかず、そしてかわいらしく飾られた花形の生麩
気持ちを晴れやかにしてくれるこの彩りは連根屋さんならではのものだ。

───先日連根屋弁当を頂いたのですが、とても豪華で、あの品数を維持するのは
大変ではないかと感じたのですが

「一人じゃ絶対できないですね。
品数はものすごいです。ただ入れてあるわけではなく、必ず一品一品手を入れているもの
なので。ただ切っていれるだけではない。そういう意味でのひと手間ですね」

───まるでコース料理を連想させるようなお弁当でした。

うちはコース料理で出しているので、それをお弁当に表現するとああいうかんじに
なるんですかね。例えば若い男の子が好むような牛!丼!とかカレー!みたいな
がっつりはないので
そのかわり何種類あるの?って。うちに来るお客さんは女性の方が多いので。
まあ、自分も深く考えたことなかったんですが
コースを感じるというのは意外でしたが、そういう感じになるんですかね

───SNSも拝見したのですが、お弁当も見つけて嬉しい!みたいなコメントを拝見して
お店に来られないお客様にお店の色を感じて癒されて欲しいというメッセージのようなもの
が込められているのかなと、私は感じました。

そうですね、もっと掘り下げると、せっかく来てくれるんであれば、連根屋らしいものを
提供したい
うちはお弁当屋さんじゃないですから、お弁当頼むんだったらお弁当屋さんの
お弁当食べた方がいいと思うんですよ。うちはうちの強みを生かしていきたいし、
叶わないし、うちも
前はお弁当もやってたりしてたんですけど、どうしても営業との両立が難しくて、
営業の方に専念したんですけど、また今再開したので
それでお弁当あるんだ、って言ってくれてるのかもしれないですね」

───お弁当グランプリに出場されて優勝されてましたね。

「あー!茨城放送の。」

───縦に層になった、パフェみたいな

「ありましたね、あれは面白かったですよ。そんなに大きな大会ではなかったですけど
1位を頂けまして。今のお弁当にしてもそうなんですけど、彩だけつけようとしたら
それはそれでできるんですよ。
彩りだけを追求してしまうと、どうしても味が二の次になってしまう部分があるものですから
そこは意識しましたね」

───お店のコンセプトというものはありますか?

「最初は、女性が一人でも入れる和食店というコンセプトでした。
20年前の話ですが、当時の和食…料亭ってなると、どうしても敷井が高いじゃな
いですか。それをなくそうと
例えばカツ丼だとか天丼だとか。そういうところの
値段帯でちゃんと出汁と技術を使って肩ひじ張らない和食を料亭の技術で作った
らどうなのかなってやったものですよ
だから、入りやすい一般的な値段のところで、料亭の技術でやったらどうかなって
自分も料亭とかは行けないですけど幸いそういうところで修業はしてきてますから
そのものを、そのままやったらって
ただそうやって、やってきたら最終的には無理がきましたね」

───コスパが良いなと感じますが、料亭のような技術を使ってとなると、回転が良い
お店とはまた違った形になってくるのかなと感じます

「手間もかかるし、原価もかかる。なので、値上げも含めて徐々に形を変えていって
今の形になりましたね」

───連根屋さんに来て下さるお客様にこんな事を感じて食べて頂けたら嬉しいなとか
そういう想いみたいなものはありますか?

「それはね、好きなように食べてもらいたい。お店も、まずポスター貼らない、装飾は
華美にしない。
食べる人が、それぞれのシーンで、それぞれの考え方で食べてもらえたら
そういう事ですよね
コンセプトを強くしちゃうと、そういう風に食べるじゃないですか。
そうじゃなくて、その人の食べ方で食べてもらえたらいいんじゃないかなって」

京都、宮崎、ロサンゼルスで修行を積んだご主人は出汁を味噌汁用、メイン料理
用、人気の芋饅頭用と全て配合を変えている。
そうめんの出汁は鰹節を始め6種類の素材を使用。芋饅頭の芋は3種の芋をブレンド
している。聞いただけで気の遠くなりそうな作業だ。

───梅酒を毎年漬けてらっしゃいますよね。もうけっこうな量になってますよね

「そうですね、結構な量になってます。
当時は毎年何10本て漬けないと間に合わなかったのですが、今はそんなに出なくなり
ましたかね。
今年も漬けましたけど、3年前5年前10年前のものを皆さん飲まれてたので、まあ来年も
飲みますけど、そう考えると、5年後10年後を見越して漬けないといけない。」

───どうして梅酒を漬けようと思ったのですか?

「梅酒が好きだったのもあるし、前の職場にいた時ですね、梅酒を漬けてたんですよ。
お客さんがそれを美味しいって飲んでくれてたので、毎年漬けたら面白いんじゃないかな

で、飲み比べたら面白いんじゃないかなと
だからオープンする5年くらい前には漬けてましたかね」

───修行されたそれぞれのお店で学ばれたことが今のお店に活かされているので
しょうか?

「それは結果的ですよね。オープンするときも今までやってたこと役に立ってる
のかなって、ずっと思ってましたよ。
でも結果的に無駄な事はなかったなって思いますし。
でも、自分はですけど、どこのお店が一番勉強になったかっていうと
明らかにここ(連根屋)ですよね」

───オープンして、自分でお料理して、試行錯誤されるのが一番勉強に
なったということでしょうか?

「そうですね、それまではやっぱり言われたことをやっているような感じだったし
自分でやらざるを得ない立場になってなかった。
逃げられないところですよね。そうなって初めてですよね。
人によっては前もって計画を立てて何年後にってかんじじゃないですか
僕は全然そんなかんじじゃなかったんで
ただ、お店を出したいってそれだけしかなかったですから。
もっとちゃんと考えられていれば修行期間中にもっといろんなことが学べた
なとは思いますね。
そういう意味では、まあ、今が学ぶチャンスだよっていうのはやっぱり
実際自分がそういう立場に立ってみないとわからないかもしれないですけどね」

───SNSを拝見しましたが、ロサンゼルスにいた頃作られていた串揚げや、お料理の
仕込みの状態の画像や、面白いまかないがたくさんあって、見ていて楽しかったです。
まかないは毎回考えていたのですか?

「当時はね、インスタの為にやってました。インスタの為にまかない作ってました」

───あのまかないをインスタの為にですか

「喜んで食べてくれるので、その為に作ってたのもあるし、今は余裕がないですけど
当時は少し余裕があったので、まかない作りながら新しい料理を作るヒントになるじゃ
ないですか。そういう意味でのまかない…試作も兼ねてますね」

───まかないからメニュー化されたものもあるのですか?

「あ、でも必ずメニュー化する前はまかないで。」

───従業員さん人気ナンバーワンのほうれん草のサラダ!あれもまかないですか?

「あれはオープン当初からのメニューですね。ずっと人気がある…
今はコース制にしちゃったので季節のメニューになっちゃいましたけど
前は単品もやってたので
単品で絶対出るのが、レンコンのはさみ揚げと、ほうれん草のサラダと、牛筋の煮込み
この3点はもう、どのお客様からもご注文頂いてましたね。」

───牛筋の煮込み、どのような味付けなのか気になります

「ちょっと普通のイメージと違うかもしれないですね。もうあっさり
で、お野菜がたっぷり入ってますね
それをかけたのが、グランプリとったごはんなんですよ

───あ、なるほど!

「あそこにごはんを入れて、周りに野菜を入れて、牛筋の煮込んだのを入れてポン酢味
で食べるっていう。だから食べてもさっぱりいけるし、牛筋なのでコクもあるっていう」

───グランプリのお弁当もこだわった点などあるのでしょうか?

「そうですね、何が流行ってるのかっていうのと、どうしたら女子受けするかっていうの
を考えてましたね
調べたら、カップごはんが流行ってたと。あの時はカップのサラダとかも流行ってたんで
すよ。あれは野菜が入っているのでサラダ的な面もあるし」

───連根屋弁当をお持ち帰りした時サラダも持ち帰ったのですが、あれもカップでしたね

「あれはね、最初は違う入れ物で考えてたんですよ。
お弁当をがっつりやるのは初めてだったので、いろいろ試行錯誤しながら。」

───感染対策について、かなり力を入れているように感じますが

「それは牛久市の補助があって出来る事ですね。そういうのを飲食店に向けて
出すよって言ってくれて、それによってうちらは対策をすることが出来て
お客様をお迎えすることが出来るわけですから
そういう意味でありがたいと思ってるし
自粛とかしてて皆さん外に出られなくてストレスたまってると思うんですよね。
来てちょっとした時間をリラックスできたりとかして頂ければ
営業できて売り上げがもらえるわけだし
存続もできるかなってわけですので正直にありがたいって思いますね

ただ自分たちは出来る限りで精一杯やってますが、それでも足りてない所も
ありますし、そういう時は本当ごめんなさいしかないですけど
ごめんなさいで終わらせないで、検証して繰り返さないように。それは
いつも思ってますね。
同じことを何回も繰り返すことと、進歩がないことが一番嫌なんですよ。
また同じことを言われないように。そうやってれば、毎日同じことやってても
進歩するじゃないですか」

───連根屋さんはどんどん進化していくのですね。目標のようなものは
あるのですか?

「目標はないです。でも、やっぱり一番は…食べたいっていう人ね
お客さん含めみんながいい気持ちになれれば一番。
それが目標ですかね」

───これからの連根屋について教えてください

「これから、まあ今のままだとどうしても無理が来ちゃうので
各方面にそれをどう変えていくかっていうのは課題ですよね
新しい風にしようと思ってます。今までの連根屋は終わりにしようと思ってます
いまのものをやめるってわけじゃなくてね、働く人も食べる人も、どうしたら
うまくいくかなっていうのが。そういう意味でね」

時代に合わせてという意味かと聞いてみたところうちは完全に時代遅れだと
即答するご主人。その言葉には力強さを感じる。

帰り際、従業員さんにひとことをお願いしたところ
「細かいところもいろいろ言ってるけど、一緒に頑張ってくれて感謝している」
と語る佐藤さん。
真面目で誠実な従業員さん達と、お客様を想い、自分に厳しく妥協を許さない
ご主人の作り上げていく新たな連根屋さんは、進化をしつつも、あのぬくもりと
華やかさを感じさせる暖かいお料理で、これからも私たちを癒してくれるのだろう。

 

 

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旬の台所 連根屋

テイクアウト受付時間 前日の18:00まで

住所 牛久市神谷1-6-8

駐車場 有(お店の奥へ行くと専用駐車場があります)

電話 0298-71-3094

営業時間 11:30~15:00(LO14:00) 18:00~22:30(LO21:00)

定休日 木曜日

特記事項 マルシェは不定期開催・現在夜は当日17時までに予約がない場合は臨時休業。

     緊急事態次第で変わる可能性がありますので、Facebookやホームページ、お電話でのご確認をお願い致します。

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