鮨と旬の味 弥七 インタビュー

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弥七の店内は清潔できれいだ。
店内はジャズが流れ、洗練された空気が流れている。開放的なカウンター席に大きな窓。よく手入れされているのか創業30年とは思えないくらい奇麗な庭と清々しい空が窓の外に広がる。

この日伺ったのは2時頃。オーナーの佐藤渡さんは、朝4時から走り回りやっと一息ついたところだそうだ。
昼食は…と聞くと、一日一食しかとらないとのこと。健康と、自身の生活スタイルを考えて自然とそうなったそうだが、そんな中、インタビューの為時間をとってくださった事に頭が下がる。

今回は弥七のオーナー佐藤渡さんに、人生の勉強になるような、深いお話をたっぷり聞かせて頂きました!

 

弥七さんのスタートは?

弥七さんのコンセプト、今の店舗ができるまで

佐藤さんの趣味

お客様とのエピソード

 

 

弥七さんのスタートは?

✾佐藤さんはいろんなことに挑戦されているようですけど
例えばお魚の仕入れとかされる時も
いろいろ工夫したり、毎回違う事をされたりするのですか?

「長くなるから短く端折るとね
25で寿司屋になった時には
社長になったんですよ、経営者になったんですよ」

「大学卒業してまだ2年半で
2年半は まったく関係ない建築資材の商社の営業マンだったんですよ」

✾そうだったんですか

「そう、商売勉強したくて大阪の商社の営業マンをやっていて
たまたまここを通りかかった時に空き店舗っていうのがあって
よしやってみようって
その時は技術も知識も何もなかったんです
寿司も握れない 魚も触れない
接客もしらない 飲食店の経営も知らない
貯金もない
何もない時に始めた25歳だったんで
仕入れの事ばかりじゃなくて
全部が勉強しなくちゃいけなかった
だから市場も毎日何の用がなくても行ってた」

✾勉強のために

「うん、築地の…(うちは)創業32年目なんだけど
最初の18年くらいは行かない日がないくらい行ってた」

✾毎日?

「毎日。買い物がなくても」

✾その頃はカウンターに立たれたり

「今でこそ入る日が無くなっちゃいましたけど
3年くらい前までは15年くらい立ってたかな
40過ぎから…
2005年くらいから2020くらいまでは立ってたかな」

✾お寿司握って

「そうですそうです」

「今まで板前さん200人くらい出入りしたんですよ
その200人の板前さん
まあ、長くなるので端折るけど
200種類の働き方があるんですよ」

「みんな同じじゃない、アジ一本でも全然違う
包丁の使い方、巻物の巻き方、寿司の握り方みんな違う」

✾職人さんたちの仕事を目の前で200通り見てきたのですね
ちょっと教えてよってかんじで教えてくれるのですか?

「見てたって、問題ないしね
へー、そういう風にやるんですかって
たぶん人が10年かかるところを10年でクリアしたり
5年かかるところを一カ月でっていうのを繰り返してきて
今どきは便利だからYouTubeにいろいろ出てるでしょ」
クックパッドも見るしYouTubeも見るしあれも見るしこれも見るし現場でも試して
みるし、板前さんの意見も聞くしで
いうなかで、一番いい
美味しいやり方はこれっていうのを自分の中で探し出して」

「仕入れに関してもナンに関しても自分で一生懸命勉強した
人から習った その連続。今だってそう
自慢に聞こえるとやなんだけど
今年に入ってから資格みっつとったんです」

✾すごいですね

「勉強する時間あるからね
朝四時に起きて市場行っても仕方ないからね
毎日4時に起きてここ来て2~3時間くらい勉強してたんですよ」

✾朝四時…早いですね

「習うとか勉強するとかそういうのが障害がないんで
僕自身がそういう風に育ったんで」

✾すごく好奇心旺盛で

「好奇心、まあ向上心と好奇心だよね
あと集中力
それは僕の中では宝物だよね」

✾いろんなことに挑戦されてますし、なんだか、すごいなって

「おやじのくせにね」

✾いやいやいや、初めてお会いした時、想像以上にエネルギッシュで若々しい方だなって思ったんですよ

「そんなことないよ(笑)」

✾佐藤さんについていろいろ聞いたりしたんですけど、いろんなことに挑戦されている

「うん」

✾献血、子ども食堂 弥七テラス
まぐろの…Facebookで拝見したんですけど

 

「あー、三食丼とかね、そうね
ずいぶんやったよわけわかんないこといろいろと」

✾わけわかんないこと!ですか?

「わけわかんないこといっぱいやった。創業して25でしょ
バブルの最後の頃は世の中まだ景気悪かったんですよね
そうすると、先輩方がやってるお店が連日満席なわけ」

✾そんな事もあったのですね

「送迎バスなんかバンバンでてるの
白衣来たお兄さんが運転してたりするの
俺んちからっぽなのよ
で、これはなんなんだって
くやしいじゃない
儲かるもうからないのまえに なんでって」

「で、ポスティングはあたりまえ 
クーポン券配ってみたり駅前でチラシ作ってみたり
交差点で泊ってる車にティッシュ渡すみたいにやってみたり」

「あとはね、ある時はね
行列を作ったらそれを見た人がまた来てくれるんじゃないかって

助六弁当って知ってる?
のり巻きいなりみたいな」

✾知ってます

「あれをこどもの日か何かに10円で売ったの」

✾10円ですか!!

「ポスティングして、自分でコピーしてね
で、次の日500個用意したんだけど3000人くらいお客さん来て

でもね考えてみてよ
500個だよ、10円なの
5000円なんだよ」

✾確かにそうですけど

「頭のいい人は絶対やらないって思って
でもそれ3年くらいやったらさすがに知名度上がって
地元の人たちも親身にしてもらって
最初の頃は怒られたけどね」

✾確かに買えなかった人は怒るかもしれないですね

「3000人来てるんだもん
買えなかった人は怒るでしょ2500人買えないんだもん
最初の頃は容量もわからないから
先頭の人が10個って言ったら10個渡しちゃってたんだよ」

✾あ、なるほど

「でも 失敗しつつって言うと、みんな勘違いするけど
失敗を恐れずにやってなかったら勉強してないってことだよね
やったから俺は二度とやらないけど
それは本当にそうなのかわからないじゃない」

✾実際やってみて、経験して、また挑戦して

「ラグビーが好きなんですけど
ノーチャレンジノーチャンスって言葉があるの
チャレンジしなければチャンスはないよって
その言葉がすごく好きで
チャンスが来ないのはチャレンジしてないからだよなって」

✾佐藤さんはチャレンジを繰り返して今があるのですね

 

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弥七さんのコンセプトと、今の店舗ができるまで

「一服いい?
朝の4時から走り回ってて
やっとなんだよ」

✾お疲れ様です
お昼ごはん食べられたんですか

「食べてないよ、一日一食だから」

✾そうなんですか!

「うん、もうそういう風に体が慣れて。30年やってるから
全然何とも思わない
こういう生活だから、病気になれないじゃん
だから体にはすごく気を使っていて」

「だめなんですよ、慢性的に寝不足だから
食べると眠くなっちゃって…危ないでしょ車運転してたりしたら
いつもお腹ぐるぐるぐるぐるなってるし」

✾確かに空腹の方が眠気はこないですね
一食はなにを食べるのですか

「まかない。結構みんながっつり食べるから俺もがっつりなんだけど
でもなるべく ゆっくり食べてる
10年くらい前までものの3分くらいで食事終わってたんだけど
今なるべくゆっくり。
従業員がこういるとさ、ぶっ倒れるにぶっ倒れられないよね
まだまだ俺も継続していまいちだから
俺がいなくなって困る部分がいっぱいあるから
そういうところもうちょっと仕組みにしないとなって」

「やっぱり人だもんね、人ですよ
どんなに能力があっても才能があっても、知識があっても
人を大切にしない人はだめだよね」

✾弥七さんのお店って、どんな風なお店を目指してっていうのは

「うーん…一番最初にコンセプトとして持ってたのは
まさにサカさんみたいな
働く女の人が女性同士で来れる店。
それは照明とか店内の雰囲気だとかも
そういうのを目指してやってきた」

✾お洒落ですもんね、カウンターも開放感があって
ジャズが流れていて、お寿司屋さん普段行かない方でも行きやすいのではないかなって

「まあ、そのへんだよね
例えば2万とか3万とか出すお寿司屋さん
なかなか行けないじゃない。
リーズナブルって簡単に言いたくないんだけど
気軽に近所でちょっと、今日はいい日だから
結婚記念日だから誕生日だからって行く店って
なかなかないじゃない」

「久しぶりに来た遠くに住んでる友達に
喜んで帰ってもらいたい
「いいところだね牛久」ってって言って帰ってもらいたい
さあ、どこに連れてこうか
牛久シャトー連れて行って大仏連れて行って
晩御飯どうしようって考えるじゃないですか
そう考えた時に大切な人を連れていきたいと思えるような店になりたいなって
思うんですよ」

「自分でそうだから。大切な人と食事に行きましょうとか
僕、国内旅行が好きで、お友達訪ねて行くと
すると先方一生懸命気遣ってくれて
「よおめえに食わせたいものあるんだ行こうぜっ」って
で、本当に美味しいものを素敵な空間で食べさせてくれたりすると
凄く嬉しくなる
ちょっと思い出深いでしょ
例えば九州の…あそこの久留米で食ったあれが美味しかったな
誰に連れて行ってもらったんだっけな
よかったなーって
いつまで経ったって覚えてる

でも、連れてく方も大変だよね
ないと困っちゃうでしょ」

✾そうですね

「どこつれてこっかな~って。そんな時に選んでもらえたらなって
懐石料理とかかしこまっちゃう雰囲気も
なんかそうじゃないんだよなって
思うでしょ昔の友達とか連れていく所とか」

✾そうですね、もう少しくだけたかんじというか

「かといってフランキーじゃ困っちゃうし
よくスタッフと話すのは

かしこまりすぎない
いい礼儀正しさ
親しみやすい礼儀正しさ
ってすごく大事じゃないって

もう少しほっこりしたいというか」

✾では、ちょっと関係ないかもしれないですが
ランチを頂いた時に最初に出して頂くお茶が
丸い氷で出てきたのを見た時すごくほっこりしたのですが
あのあたりもこだわりが

「そうだね、あの製氷機高いんですよ
いろんな設計とか値切りまくって交渉してたのに最後の最後に
あの製氷機買った時に他の業者さんに皆に怒られて」

でも入れた後に業者さんは
あ、なるほどお前がやりたかったのはこういう事なんだなって」

✾あの氷がとってもかわいくて今でも好きです

「こういうお店に連れていきたいなって
いうお店があるじゃない
そういうお店を自分で描いて
そういうお店を作りたいって

それは、看板から氷まで
従業員の制服から言葉遣いから料理まで

✾では、もうそれは最初の頃からこういう風にやっていこうって決められて

「ずーっと考えてたからね
25で独立してこっちにきたの33 34か

その9年間でずーっと」

「食べ歩いたり飲み歩いたりした時は
どのお店に行ってもテーブルの床からの高さとかさ
テーブルの厚みとか
テーブルの脚までの距離とか見たりして
それで
この高さは女の人には難しいなとか
足を組もうと思ったらひっかかるなとか
ストッキング伝染しちゃうなとか
この高さだと
男の人があぐらかけないなとか
くつろげないな、落ち着けないなとか」

「一生懸命考えて
365日24時間ずーっと
商売の事しか考えてないですけど

遊びに行っても飲みに行っても
お店に立ってても

これがこう見えるんだとか
そういうリサーチはずっとしてる」

 

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佐藤さんの趣味

✾常に考えていると疲れる事はありませんか?

「それが習慣なので。趣味のようなものなので」

✾初めて聞きました!そういう趣味

「仕事やってることが何の苦にもならない
だから趣味なんて必要ないよね
釣りしたいとかゴルフしたいとか
したいけどね
でもそれだったらここで気の知れた仲間とかと
そんな贅沢じゃなくても美味しいもの食べたり
この宿いいよっていう宿の泊ってみたりして
ずっと目線がそうなっちゃう
趣味だからね、俺の」

「最初の頃の25で開業した時の、誰も来ない、他のお店は満席
それが活力 エネルギーになってるよね」

「昔は休みの日にゴルフ行ったりしてたけど
それは仕事に真剣じゃなかった気がするんだよね
本当に金儲けくらいにしか思ってなかったのかな
今思うと あ、そうかって

真剣にのめり込んでみたら
悔しいもんね
負けてるみたいでさ」

「変な事言うけど
成功している経営者って
何故どうして何が原因でって
100%理解してる人って僕いないと思うんですよ
それが理解できてればそんな努力しなくていいと思うんですよ

自分の店が繁盛していて
養えて
こういう発想が浮かんだのはどうしてだろうっていうのを考えると
わからないことがいっぱいあるんですよ
原因が

何故その発想が頭の中にぽっとでてきたのか
わかんないから
探るしかないよね

それをやらないと逆に不安
理由がわからないからさ」

✾それがいつの間にか趣味に

「そうそう」

✾本当に、失敗とやり直しを繰り返して良い物を作り上げてきたっていう

「本当チャレンジして失敗して反省してやり直して…ずーっとだよね」

 

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お客様とのエピソード

✾コロナに入って
弥七さんがんばってーっていうお客さんはいましたか?

「あ、いたね。すごく多かった。来てくれるお客さんに直接言われることもあるけども
表で草むしりとか水巻してたりとかの時に
「良くきれいにしてるね~」って
「いや暇なんで」 って言うの
すると
「やっぱ暇なのか、開けたら行くからな がんばれよ」って」

✾エネルギーになりますね

「なりますね がんばんなきゃなーって」

「ちょうどコロナの間に30周年、去年の9月だったんですよ」

「なんにもできなかった」

「お客さんにはがきだしたり、手書きで全部出したりしてね
去年は2000枚以上書いたかな」

✾2000…結構時間かかるんじゃないですか

「みんなそう言うけど
後輩に言うんだけど
「一日三件かいたら一カ月に100件くらいかけるよ
3件で終わらない日もあるから
一日3件でも5件でも書いたらできるから」って」

「それとこれ不思議なんだけど
例えば市場で
「あ、この魚サカさん好きだから買っていこう」
って思って買ってくと
ほんとにサカさん来るの」

✾すごいですね

「いやはがきもそうなの。サカさんに書いてるとするじゃない
で、ポストに入れるの。その晩サカさん来るのよ」

「え、今日手紙出しましたよって」

✾おもしろいですね

「おもしろいよね、何百回ってある。それね、人に言っちゃうとだめなの」

「買ってきて
「いいアジあったからこれサカさん好きだから買ってきたんだ」って
いうと来ないの。胸の内にしまっておくと、来るの」

✾素敵なミラクルですね

「うん。ミラクル
そのミラクルの理由がわかってないから
うまくいってる原因の90パーセントくらいがわからない」

「何を改善したらいい
何を工夫したらいいって
ずっと考えるね

失敗なきゃだめってことよ
ジャンジャン失敗して
経験して」

✾貴重なお話をたくさん聞かせて頂いて、本当にありがとうございました。私もフリーペーパー作成気合入れて頑張りたいと思います!

 

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